〜プロローグ〜

時は太正某月某日、大神一郎中尉が巴里へ旅だったときから数ヶ月後の噺...

「大神くん無事に過ごしているかしら?」

「うふふっあらさくら、そんなに気になるかしら?

かえでの唐突な質問に、さくらはドギマギしながら応える。

「そっ、そんなことないですっ!(汗)」

「うふふっ、どうかしら?」

そんな会話が交わされる平和そのものの帝都。今日もいい天気だ。

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この春の上演は、毎年の恒例、「愛ゆえに」だ。

仏蘭西の騎士オンドレと町娘クレモンティーヌの悲恋の物語だ。

最早、円熟の域に達したマリアと経験豊富になってきたさくら。

二人の域が、ピッタリ合っている。

そんな様子を幕内で見ていた米田とかえでが微笑んだ。

「支配人?あの子達も成長しましたね?」

「おうよ!あやめくんが見いだした子らだからよぅ!」

「ええ・・・そうですね・・・」

少し翳りのある笑顔でかえでは応えた。

米田も察したのかこのように応えた。

「すまん、かえで君。そう言うつもりはなかったんだ。」

司令の顔になって米田は言う。

「お心遣い有り難う御座います。司令。」

−2−

さて、その夜のこと・・・

『一筆申し上げます。大神君?元気でやっているかしら?

花組のみんなは、参代目隊長の○○君(サクラGBの主人公)が、

良くやっているわ。巴里の様子はどうかしら?

花の都はさぞかし良い所ナノでしょうね?

また、落ち着いたらキネマトロンで連絡なさい。

それではまた会う日を楽しみに。            かしこ

帝国華撃団花組副司令 藤枝かえで』

−3−