○四月某日 天気:晴れ
今日、この大帝国劇場に新入りの人がやってきました。
帝国海軍の少尉さんで、名前は大神一郎さん。
丁度二十歳ぐらいみたい。すらっとした体つきとか、端正な顔とか、なんだかとっても格好いいの。
最初きたときは軍服なんか着てたから、ちょっとびっくりしちゃった。
まあ、ここは帝撃の本部なんだし、大神さんは帝国華撃団・花組の隊長として来たんだから、当然といえば当然よね。
でも、軍服姿もきりっとしてて格好よかったなあ。あのまま青年軍人の役で舞台に出演ても全然違和感なさそう!
――まあ、いきなりモギリの仕事なんかやらされて、ちょっと不満そうだったけど。
でもでも、仕事が終わったあと売店に来て、さくらさんのプロマイド買っていったの! はじめさくらさんのプロマイド見たとき、ちょっとびっくりしてたみたい。
……もしかしたら大神さん、さくらさんたち花組のみなさんが帝国歌劇団として舞台に立ってること知らないのかしら?
……まあ、米田支配人のことだから、わざと言わなかったんでしょうけど。
……あれっ? なんだかあたし、大神さんのことばっかり書いてる……。
……気になってるの、かな……?
まあ、確かに格好いいし、優しそうだし、「売り子の衣装、似合ってるね」なんて言ってくれたし……。
…………
ま、まあいいや。とにかく明日から、あたしと大神さんが、大帝国劇場の玄関を預かるんだから、今まで以上にがんばらなくっちゃ。
明日劇場に行くの、楽しみだなあ……。
――大神さんに会えるから、なんてね。えへっ。